ハーマンミラー

ハーマンミラー

あなたはハーマンミラー(Herman Miller)というアメリカの家具メーカーをご存知だろうか? チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソンなどのデザイナーズチェアやアーロンチェアやミラチェアなどのオフィスチェアを世に送り出したメーカーだと言えば、お判りだろうか? ハーマンミラーのホーム&オフィス家具の特徴は、機能性とインテリア性との優れた融合にあると言える。ただ使い勝手がいいだけでもなく、ただ美しいだけでもない―――ハーマンミラーが世界に名だたる家具メーカーである所以がそこにある。

今や押しも押されもせぬ家具メーカーのトップカンパニー、ハーマンミラー社(Herman Miller,Inc.)の設立は1923年。
D.J.デプリーと彼の義父ハーマン・ミラーが、スターファニチャーカンパニー(Star Furniture Company / 1905年創業)の全株式を取得したことに始まる。
1920年代、ハーマンミラーは家庭用家具を製造する会社であったが、1930年代にはギルバート・ロードをデザイナーに迎え、トラディショナルなスタイルからコンテンポラリーなスタイルへと製造する家具の様式を転換する。1940年代には、ジョージ・ネルソンがデザイン・ディレクターを務め、イームズのシェルチェアやイサム・ノグチのノグチテーブルなどが発表される。
前後してハーマンミラーはオフィス用家具に進出、1960年代になると、アクションオフィスシリーズがリリースされ、ホーム&オフィス家具のリーディングカンパニーへと成長を遂げていく。
椅子がデスクワークパートナーとはまた大仰な物言いだとお思いかもしれない。
しかし、長時間椅子に座ることを余儀なくされるデスクワークに従事している人ならば、能率よく仕事を遂行する上でどれだけ椅子が重要な役割を果たしているか、お判りだろう。 長時間座り続けても体に負担がかからず疲れない椅子とはどのようなものか?

その問いに対する答えこそがワークチェアあるいはオフィスチェアに求められる永遠のテーマにして最大のレーゾンデートと言えるだろう。そしてハーマンミラーの開発チームによって1995年に考案された形がアーロンチェアのランバーサポートバージョンであり、さらに2003年に提示された形がアーロンチェアのポスチャーフィットバージョンである。 アーロンチェアの最大の特徴は、使用者がどんな体型をしていようと、どんな姿勢をとろうと、背骨のS字カーブに沿うように調整することができる多様性。この多様性は、従来のオフィスチェアによってもたらされる体への負担―――腰痛 / 肩や首のこり / 頭痛 / 疲労感など―――から、あなたを解放してくれるだろう。 ―――大袈裟かどうかは、このオフィスチェアNo1の椅子に座って確かめてほしい。

永遠のモダニズムデザイン、イームズチェアー

ハーマンミラーのオフィス家具の代表格がアーロンチェアなら、ハーマンミラーのホーム家具の筆頭はイームズチェアであろう。 チャールズ&レイ・イームズ夫妻は、言わずと知れたミッドセンチュリーの寵児である。ハーマンミラーによって商品化された二人の才能の結晶はラウンジチェア&オットマン / アルミナムグループ / エグゼクティブチェアなどなど多数に上るが、ハーマンミラーの名を一躍世界に轟かせる契機となったのはシェルチェアであろう。 アーム付きのアームシェルチェアは1950年世界初の大量生産FRP(Fiber Reinforced Plastics)チェアとしてリリース、アームなしのサイドシェルチェアは1953年バリエーションとしてリリースされた。 FRPすなわちガラス繊維で補強されたプラスティックを一体成型したシェルと、エッフェルベース / ロッカーベース / スタッキングベースなど様々なレッグを付け替えることが可能なシステム―――その組み合わせはシンプルでありながらスタイリッシュであり、またマスプロダクション製品としての経済性も兼ね備えている。その完成度の高さは、ホーム家具のみならずオフィス家具としても通用し得る機能性とデザイン性に表れているだろう。 現在FRP製シェルチェアは、FRPがリサイクルできない素材であるため生産されておらず、ユーズド市場で入手するしかない。現行シェルチェアはリサイクルできるポリプロピレン製で、ハーマンミラーではなくヴィトラからリプロダクトされている。

ハーマンミラーのチャレンジ&イノベーション

ハーマンミラーは、ジョージ・ネルソン / チャールズ&レイ・イームズ / アレキサンダー・ジラードなどを筆頭に才能溢れるデザイナーを起用し、卓越したマーケティングと研究開発技術によって、彼らの秀逸な作品をコマーシャルラインに乗せてきた。 ハーマンミラーの根底にあるのは、そこが家庭であれオフィスであれ、その空間に存在する人にとっての真のニーズをプロダクトデザインに反映させ、あらゆる人にとってのグッドデザインをクリエイトすることであろう。 そこに空間があり、そこに人がいる限り、ハーマンミラーの挑戦と革新は終わらない。


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